このアルバムでは、ジョンやポールのボーカルはダブルトラックで録音されている曲が多く、初期ビートルズ最大の魅力のひとつである、ジョンのかすれた声とポールの甘い声という黄金のハーモニーは影を潜めてしまっている。
モノラル版のミックスに主眼が置かれ、ステレオ版は短時間で制作されているせいか、荒さの目立つミックスとなっている。「プリーズ・プリーズ・ミー」では、右チャンネルのボーカルのエコーを左チャンネルに、左チャンネルのギターのエコーを右チャンネルに逃がすなどの工夫がされていたが、このアルバムではそうした細かな作業は省かれているようだ。
比較的バランスが良いのが"Don't Bother Me"、"Till There Was You"で、前作に近いミックスが施されている。"You Really Got A Hold On Me"と"Roll Over Beethoven"は、ボーカルの後録りの際にリードギターが同録されているようで、右チャンネルから一部リードギターが聴こえる。また、最後の"Money"だけは例外で、ボーカルはセンターに定位させていて一番バランスが良く感じられるが、これはテイク違いの曲同士をミックスしてつくられていて、モノラル版よりも凝った音づくりがなされている。
1987年版モノミックスとの比較では、ステレオになっていること以外は音質的にも大きな差はなく、このアルバムに関しては旧CDのほうが聴きやすいと思う。
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