2015年6月26日金曜日

デジタルアンプ LXA-OT3 自作ケースへの道 -3

ikeda Productの金属ケースも良いのですが、自分でもオリジナルのケースを製作してみたくなりました。

表面と裏面パネルはアルミ製にして、上下及び側面は木製というのが、自分がイメージするデザインです。


このケースを作る上で、もっとも難しそうなのが、アンプ背面の裏板の製作。この裏板ができなければ、ケースの製作は先に進みません。

そこで、アンプ背面の端子位置を測り、裏板を製作するための図面を起こしました。
DIYショップで図面をもとに相談したところ、アルミ板を切断するには端に最低でも8mm、穴と端の間にも最低2mmの余白が必要とのことです。そこで書きなおしたのが2枚目の図面です。

上段に2mm、下段に4mmの余白ができますが、上下の板にスリットを開けて裏板をサンドイッチしてあげれば、余白が見えなくなると同時に裏板を固定することもできそうです。

問題は、スピーカー端子を固定する2つの穴を自分で開ける必要があること。

表板は、基板に付いているダイオードを透過させ、熱も逃がせるという2つの利点を考慮して、パンチングメタルにすることを思いつきました。さて、どうなることでしょう。

2015年6月17日水曜日

デジタルアンプ LXA-OT3 自作ケースへの道 -2

Stereo誌の付録デジタルアンプLXA-OT1とLXA-OT3は、基板むき出しのままでも使えるとはいえ、通電中のショートなどを防ぐためには、やはりケースに入れて使ってあげたいものです。

 ネットで検索すると、さまざまな自作ケースが公開されていて、なかなか興味深いものがありました。秋葉原などで売っている金属ケースを利用したものから、すべて木工で作られたもの、100円ショップのプラスティック製ケースを利用したものまで、さまざまです。
いいなと思ったのは、ikeda Productによる「LXA-OT1用アンプベース」という製品。すでに製造中止となっておりましたが、音楽の友社が運営するサイト「オントモ・ヴィレッジ」の通販ではまだ売っているようです。

価格は税込で14,040円(LXA-OT3付き)とやや高価ですが、通常これだけの精度で金属加工を行えば、さらにコストがかかるのは目に見えており、金属の切削加工技術をあらかじめ持っている会社でないとできなかった製品ともいえるでしょう。

開発者らしき方のブログを読んでも、随所に製品へのこだわりを感じさせます。まだ入手できるうちに1台だけでも買っておこうと、ついつい購入ボタンを押してしまいました。

そして届いたのが、写真のケースです。裏板一体型のシャーシ、ベース、ボンネット、ノブのすべてがアルミやスチール等の金属を加工してできており、加工精度も非常に高く、十分満足のいくものでした。

デジタルアンプ LXA-OT3 自作ケースへの道 -1

Stereo誌の2014年1月号の付録、ラックスマンのデジタルアンプ、LXA-OT3を試してみました。

既に完売となっているこの号ですが、amazonで検索してみると新品を在庫しているお店があったのでさっそく注文してみると、翌々日には実物が届きました。

送料込みで4,063円(定価3,700円)でしたが、中古品がプレミアム価格で取引されていることを考えれば、まずまずの買い物かもしれません。

さっそく箱から取り出してみると、基板むき出しのアンプ本体が出てきました。基板部分のサイズが94mm×53mmしかなく、ちょうどタバコ1箱くらいの大きさです。

このコンパクトさにもかかわらず、出力は12W+12Wを誇るとのことで、一般家庭で使用するには十分すぎるくらいのパワーです。

さっそく、自作のトールボーイ型8cmダブルバスレフスピーカーで音を聴いてみると、デジタルアンプとは思えない温かなサウンドが響いてきました。

TripathのTA2020-020を使ったデジタルアンプのLepai LP-2020A+と比較すると、高域が抑えられた分、透明感では劣るものの、まろやかで温もりが感じられる音です。スピーカーとの組み合わせ次第では、さらに良い結果が期待できそうな印象です。


LXA-OT3が思っていた以上に良いものだったので、初代のLXA-OT1のほうも気になっていたところ、Stereo誌 2012年1月号が未開封でオークションに出品されていたので、思わず落札してしまいました。こちらは、送料込みで1,956円(定価2,800円)。

基板サイズなどの仕様はOT3とまったく同じで、出力は5W+5Wと低くなりますが、音質的に大きな差は感じられず、定価のことを考えるとOT1のコストパフォーマンスの高さが際立っていると思います。

2015年6月9日火曜日

iPhone 枡 スピーカー 試聴記 -2

iPhone5を使って、枡とアイメガホンとの試聴比較を行いました。枡については、1合枡よりも3合枡のほうが自然な響きがして、個人的には◎でした。

使い方は、枡にiPhoneを立てかけるように寝かせた状態で、内蔵スピーカーの音を反響させるだけです。

実験した結果、音が拡散するスペースが広いほうがより自然でこもりのない音が出るようです。


ただし、iPhone5の場合、良い結果が出たのは3合枡までで、これ以上大きな枡では反響効果が薄れて十分に響かなくなることもわかりました。

この枡型ホーンですが、前回も書いたように、iPhone内蔵スピーカーの音を拡声する効果はあるものの、音質を高めるまではいきませんので、過度の期待は禁物です。

iPhone用 木製スピーカー アイメガホンIIと比較試聴してみたところ、すべての面でアイメガホンに軍配が上がりました。

アイメガホンは、iPhoneスピーカーが発する音を効果的に集音し、バックロードホーンを伝って音を吐き出すしくみです。

枡型ホーンは、とくに高音が増幅される傾向がありましたが、アイメガホンはすべての音が均等に増幅している印象です。

私は、このアイメガホンがきっかけで自作スピーカーの世界にハマりました。手作りのバックロードホーンの効果を知る上では、なかなか良いグッズだと思います。
アイメガホンにつての記事はこちら

iPhone 枡 スピーカー 試聴記 -1

iPhoneを枡に入れてそのまま音を出すだけで、驚くほど音が良くなるという噂を聞いたので、さっそく試してみました。

試聴用に使った枡は100円ショップで売っている1合枡と3合枡、それに百貨店で買った500円の1合枡の3つ。

まずは、500円の1合枡から。ちなみに100円ショップの枡は、水に弱いらしく厳密には“枡形小物入れ”として売られてます。
こちらの500円の1合枡は、日本酒をついで呑むこともできる、れっきとした枡です。

試聴したのは、クリフォート・ブラウンというトランペッターのアルバム「スタディ・イン・ブラウン」。

iPhoneの音量を最大にして枡に置いてみると、確かに中高音があきらかに増幅して聴こえてきました。ただし、音は拡声されてはいるものの、音質が良くなるわけではありませんので、過度の期待はしないほうがいいでしょう。

続いて、100円ショップの1合枡でも同じように聴いてみました。木が薄い分、こちらのほうが音道が広く、開放的な音です。(1合=180mlのはずなのに、これだけ内容量が違うとは・・さすがに100円だけのことはある!?)

500円の枡のほうが、中域が前に出て締まった音に聴こえますが、あまり大差はないという感じです。

続いて100円ショップの3合枡で聴いてみると、1合枡とはあきらかに違う音が響いてきました。シンバルの響きも自然で、1合枡のときに感じた音ごもりがだいぶ薄れ、スッキリした音に聴こえます。

今回はiPhone5での試聴でしたが、iPhone6になると、大きさの面からも1合枡より2.5号枡ないしは3合枡のほうが適しているのではないかと思います。

最近、iPhone内蔵スピーカーを拡声するタイプのホーン型スピーカーが各種発売されており、かくいう私もiPhone用 木製スピーカー アイメガホンIIを使っています。次回は、このアイメガホンとの比較試聴結果を報告したいと思います。

2015年6月8日月曜日

ビートルズ解散後、もっともビートルズに貢献した男


ジョージ・ハリスンがミュージシャンとして最高に輝いていたのは、ビートルズ後期の1968年から解散後の1971年頃にかけての3年間ではないだろうか。

1973年の「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」、1979年の「慈愛の輝き」、1987年の「クラウドナイン」も良いアルバムだが、1968年から1971年の3年間にジョージが発表した珠玉の作品の数々の前では、どうしても色褪せてしまうのである。あの頃の作品は群を抜いて素晴らしく、バングラディシュのコンサートのジョージにいたっては、神がかってさえ見えてしまうのだ。

ビートルズ時代に書きためていた曲を集めて一気に発表した大作「オール・シングス・マスト・パス」を引っさげて、ロック史上初の大がかりなチャリティ・コンサート「バングラディシュのコンサート」を成功させ、音楽的にもビートルズから一皮むけた大人っぽいサウンドをジョージは作り上げている。

これらはプロデューサーのフィル・スペクターの力も大きいが、そのスペクターを起用したジョージの審美眼なくしては生まれなかったもので、あのウォール・サウンドやスワンプ・ロック的なアメリカ南部の香りも含めて、アルバムはジョージのイメージ通りに編みあげられていったと考えるのが妥当ではないだろうか。

解散後、もっともビートルズに貢献した男は、ジョージ・ハリスンではないかと最近思うのである。まるで悟りを開いたかのような「バングラディシュのコンサート」のジョージの姿は興味深い。ショービジネスの世界で、ソロとして成し得た大きな成功の最中を思えば、もっと浮かれていてもいいはずである。しかし、ここでのジョージはあくまでも静かだ。

ビートルズというカブトを脱いだ、裸のジョン・レノンが「ジョンの魂」を、ソロアーティストとして、ごく私的な音世界に耽っていたポール・マッカートニーが「マッカートニー」を各々発表するものの十分な評価を得られないなか、ジョージはビートルズ時代には成し得なかった成功をいち早く勝ち取っている。


「オール・シングス・マスト・パス」には、ビートルズの影を微塵も感じさせない音世界が構築されていて、その音楽は金字塔という言葉にふさわしい至高の輝きにあふれている。ビートルズのわかりやすさに対して、いわば、通好みといってもよいサウンドだが、決して難解ではない。

元ビートルズの、ジョンでもポールでもなく、静かなる男ジョージがこのような音世界を作り上げたからこそ、ビートルズは時代からとり残されることなく、むしろ深みを増して再評価されたのではないだろうか・・・最近、そんな気がしてならない。