2009年12月23日水曜日

A Hard Day's Night [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

ビートルズのサードアルバム「ア・ハード・ディズ・ナイト」のステレオリマスター版を試聴してみた。旧CDはモノラルマスター版だったので、各曲で微妙にミックスが異なっている。

全2作同様、ボーカルなどの細かな修正が行われているのはモノラル版のほうだが、1970年代のアナログ・ステレオ盤に慣れ親しんでいる自分にとっては、ステレオ版のほうが聴いていてしっくりくる。このアルバムから、演奏とボーカルの極端な左右チャンネルへの振り分けはなくなって、ボーカルは中央に定位しており、ステレオミックスとしてはだいぶ自然になっている。

旧CDとの比較試聴では、音質的にあまり大きな差は感じられないが、"I'm Happy Just To Dance With You"など、曲によってはドラムのタムタムの音があきらかに明瞭に聴こえるなど、中低音が強調されているのがわかる。すこし不満なのは、オリジナルマスターの特徴をそのまま生かしてリマスターされているせいか、曲同士の細かな音圧調整が行われていない点だ。"And I Love Her"から"Tell Me Why"へ曲が移ったときなど、音圧がかなり下がるのが気になった。

"Can't Buy Me Love"では、モノラル版には大きく入っているハイハットの音が、ステレオ版には入っていない。この音は、エンジニアのノーマン・スミスがモノラル版のミックス時に後で加えたものだが、曲の疾走感を倍増させる効果を出しており、この曲に関してはモノラル版が断然勝っている。一方、"I'll Cry Instead"では、リンゴのシンバルがフォービート風のリズムを刻んでいて小気味よいが、モノラル版ではタンバリンの音と重なって埋没してしまっているのに対し、ステレオ版では音が左右に振られている分、ハッキリ聴くことができる。


映画のサウンドトラックとしてつくられたため、録音には監督のリチャード・レスターが立ち会っていろいろ注文を出している。"A Hard Day's Night"の印象的なイントロとアウトロは、レスターの意見が反映されて生まれたサウンドである。

全13曲収録の曲はすべてオリジナルで、そのうち10曲はジョンの作品という、最もレノン色の強い初期の名作だ。

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