前作「フォー・セール」では、モノとステレオという違いこそあれ、音質に大きな違いあったので、期待して聴いてみたのだが、中低音の音圧が多少強調されていることを除いて、音質的な変化はあまり感じられない。当然、リミックスも同じなので、過去4枚では頻繁にあったリミックスやテイクにおけるヴァージョン違いも存在しない。同時に発売された MONO BOX の価値は、この「ヘルプ」以降のアルバムで発揮されるということになるだろう。
曲別では、ドラムの音がもっとも比較しやすい"Ticket To Ride"で、音質の違いを感じることができる。バスドラとタムタムの音が強調され、ラウドな音になっているのがはっきりとわかる。音のクリアさではあまり大差がなく、刺激が少ない分、旧CDのほうが聴きやすいという意見が出てもおかしくないと思う。
旧CDのほうが、フラットに味付けされたイギリス製スピーカーで、リマスター版のほうが、やや刺激的なアメリカ製スピーカーといった感じだ。また、音圧が加わった分目立たないが、ステレオ的な広がりはリマスター版のほうが若干感じられる。
リマスターされて著しく音質が向上したとは言いがたく、CD単体で買い替える価値はあまり見出しにくいように思う。モノラル版が単体で買えないのは残念だが、アルバムタイトルにもなっている"Help"は、ボーカルのテイクも大きく異なっており、人によっては MONO BOX が欲しくなる要因になるアルバムだろう。罪な一枚である。
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