Fホールのアーチトップ・ギターに魅せられたのは、2006年2月のことだから、もう3年近く前のことになる。国産のPU付きアーチトップを始めて手にして、Fホールの魅力に取り憑かれて以来、Gibson をはじめたくさんのギターと巡りあうことができた。
Gibson ES-165HE(2003 / Fホール 1PU-Floating)
Gibson L-48(1950's / Fホール)
Gibson L-4(1946 / Fホール 1PU-Floating)
Gibson L-4(1948 / Fホール)
Gibson L-4(1930 / Rホール)*「一生モノのアコギを探す」に掲載
Gibson L-4(1933 / Rホール)
Gibson L-7(1939 / Fホール)
Ibanez GB-10(1990 / 2PU-Floating)
Ibanez PM-100(1996 / 1PU-Mounting)
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中でも、L-4の1946年製は、ケント・アームストロングのフローティング・ピックアップがインストールされたギターで、関西のジャズギタリストが使っていた素晴らしいギターだった。
また、同じくL-4の1948年製は、以前オールマン・ブラザースのグレッグ・オールマンが来日した際に、サウンドチェックされたという曰く付きのギターだった。
元々が凝り性なので、興味をもったらとことんまで行ってしまう。
冷めるのも早く、一定の目標を達成すると大規模なダウンサイジングを図って、また次の世界にのめり込むという繰り返し(困ったものです)。
苦労して入手したギターも、毎月1本づつ部屋から消えて行き、Fホール最後の1本となった、グレッグ・オールマンのL-4も、昨年の今ごろ手放してしまい、それから10ヶ月くらいの間は、残っているギターさえも触れない時期が続いた。
最近、どうしてもFホールのギターが1本欲しくなって、一昨日、都内のギターショップに行ってみると、Loar という聞き慣れないメーカーのアーチトップが置いてあった。その佇まいに “やられて” しまった自分は、WEBでこのギターを調べてみた。オールクラフトで丁寧に製作されており、ミュージシャンやギター専門誌の評価も高い。
昨日、決心をして試奏させてもらいに行った。
Fホールのアーチトップなら、Gibson を弾いているので目利き(耳利き)には少々自信がある。
弾いてみて、The Loar LH-600 に、完全に “やられて” しまった。
これほどよく鳴るFホールは、はじめてである。
1920年代の Gibson L-5 を忠実に再現したこのギターは、トップにスプルース、サイドとバックにメイプルを使用しており、1ピースのマホガニーネックとの相性もバッチリで、ジャズやブルースはもちろん、ジャンルを選ばずに使えそうだ。
*The Loar の名は、1920年代に Gibson がまだマンドリン・メーカーとして知られていた時代に マンドリンの最高傑作として知られる F-5 を生み出した Lloyd Loar が由来。
弦楽器への貢献者として、Lloyd Loar は、Antonius Stradivarius, Orville Gibson, Leo Fender, そして Christian F. Martin と並び評せられる人物で、電気キーボードやエレクトリック・ギター開発の始祖としても知られている。
The Loar 社は、マンドリンをはじめ、アーチトップギターの L-5 や L-4 といった1920年代の Gibson 製品を忠実に蘇らせることに情熱を燃やす、非常に楽しみな楽器メーカーだ。
日本国内の輸入代理店が決まってないのが不思議なほど、申し分のない質の高さをもっている。