2008年12月29日月曜日

The Loar LH-600



Fホールのアーチトップ・ギターに魅せられたのは、2006年2月のことだから、もう3年近く前のことになる。国産のPU付きアーチトップを始めて手にして、Fホールの魅力に取り憑かれて以来、Gibson をはじめたくさんのギターと巡りあうことができた。

Gibson ES-165HE(2003 / Fホール 1PU-Floating)
Gibson L-48(1950's / Fホール)
Gibson L-4(1946 / Fホール 1PU-Floating)
Gibson L-4(1948 / Fホール)
Gibson L-4(1930 / Rホール)*「一生モノのアコギを探す」に掲載
Gibson L-4(1933 / Rホール)
Gibson L-7(1939 / Fホール)
Ibanez GB-10(1990 / 2PU-Floating)
Ibanez PM-100(1996 / 1PU-Mounting)
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中でも、L-4の1946年製は、ケント・アームストロングのフローティング・ピックアップがインストールされたギターで、関西のジャズギタリストが使っていた素晴らしいギターだった。
また、同じくL-4の1948年製は、以前オールマン・ブラザースのグレッグ・オールマンが来日した際に、サウンドチェックされたという曰く付きのギターだった。

元々が凝り性なので、興味をもったらとことんまで行ってしまう。
冷めるのも早く、一定の目標を達成すると大規模なダウンサイジングを図って、また次の世界にのめり込むという繰り返し(困ったものです)。

苦労して入手したギターも、毎月1本づつ部屋から消えて行き、Fホール最後の1本となった、グレッグ・オールマンのL-4も、昨年の今ごろ手放してしまい、それから10ヶ月くらいの間は、残っているギターさえも触れない時期が続いた。

最近、どうしてもFホールのギターが1本欲しくなって、一昨日、都内のギターショップに行ってみると、Loar という聞き慣れないメーカーのアーチトップが置いてあった。その佇まいに “やられて” しまった自分は、WEBでこのギターを調べてみた。オールクラフトで丁寧に製作されており、ミュージシャンやギター専門誌の評価も高い。

昨日、決心をして試奏させてもらいに行った。
Fホールのアーチトップなら、Gibson を弾いているので目利き(耳利き)には少々自信がある。
弾いてみて、The Loar LH-600 に、完全に “やられて” しまった。

これほどよく鳴るFホールは、はじめてである。
1920年代の Gibson L-5 を忠実に再現したこのギターは、トップにスプルース、サイドとバックにメイプルを使用しており、1ピースのマホガニーネックとの相性もバッチリで、ジャズやブルースはもちろん、ジャンルを選ばずに使えそうだ。

*The Loar の名は、1920年代に Gibson がまだマンドリン・メーカーとして知られていた時代に マンドリンの最高傑作として知られる F-5 を生み出した Lloyd Loar が由来。

弦楽器への貢献者として、Lloyd Loar は、Antonius Stradivarius, Orville Gibson, Leo Fender, そして Christian F. Martin と並び評せられる人物で、電気キーボードやエレクトリック・ギター開発の始祖としても知られている。

The Loar 社は、マンドリンをはじめ、アーチトップギターの L-5 や L-4 といった1920年代の Gibson 製品を忠実に蘇らせることに情熱を燃やす、非常に楽しみな楽器メーカーだ。
日本国内の輸入代理店が決まってないのが不思議なほど、申し分のない質の高さをもっている。

2008年12月26日金曜日

望郷にまどろむ

佐倉 順二 氏作 「望郷にまどろむ」

絵画を買いました。
今までに、プリントの額装品は何度も買ったことがあるけれど、オリジナルの絵画を買うのは初めてのこと。15年くらい前に、一度だけ版画を買ったことがあるので、それを含めれば二回目ということになる。

「一点物の絵画を買うなんて、自分にはできない」とずっと思ってきた。アーティストとパトロネージュの関係を考えたとき、自分は後者には成り得ないだろうと思ってずっと生きてきたから。

ところが、2008年の12月中旬、この「絵」と偶然にも出逢ってしまった。“一目惚れ” とは、まさにこういうことを言うのだろう。

勇気をだして「この絵は売り物ですか?」と作家本人に訊いてみると「はい」と即答していただいた。さらに値段を聞いて、その交換条件が自分にとって現実的なのか非現実的なのかどうかで悩んでしまった。その場で即答したかったのだけど、原点にかえってもう一度考えるべきと思って、その日は “お茶を濁して” 帰ってきた。

絵画を買うなんて、贅沢者のすること。
自分がそんなことをして本当に良いのか...。
2日間考えて自分の出した結論は「買うべき」という答えだった。

「あの絵を必要とする人間は、(今は)きっと自分以外にいないのだ」と言い聞かせた。この機会を逃したら、きっと後悔するだろう。そう思ったら、その日の足は自然とギャラリーへと向かっていた。

今回の貴重な体験で “絵画を買う喜び” というものをほんの少しだけ味わえたかもしれない。個展が開かれている間は、自分の “所有物” となる絵画がそこに飾られている。
その絵を観る感覚は、今までのように “ただ観ているだけ” のものとはあきらかに違うものだった。好きな絵を観るという喜びを一歩超えた “至上感” のようなものがそこにはあったと思う。

昨夜、代金を持ってギャラリーを訪ねて行くと、絵はすでに梱包されていた。無理を言って、もう一度だけ飾ってもらったのは言うまでもない。

自分に課せられた次の “ミッション” は、この絵を持って年末に実家に帰ること。そして、今年亡くなった親父の眠る墓石の前で、この絵を父に観てもらうこと。

年を越す前に、やることがひとつ増えたことが、なぜか嬉しい。

2008年12月24日水曜日

光都 TOKYO - Ambient Candle Park




皇居外苑「和田倉噴水公園」 2008.12.23 iPhone 3G

照明デザイナー 石井幹子氏プロデュースによる、光都東京・LIGHTOPIA 2008 のアンビエント・キャンドルパークに行ってきた。皇居前のパレスホテルと隣接する和田倉噴水公園に、地球・環境・平和へのメッセージが書かれたキャンドルが並ぶ。著名人、地元の小学生たち700人の思いが、明かり絵となって灯っていた。

2008年12月22日月曜日

The Day the Earth Stood Still

The Day the Earth Stood Still(1951)

映画「地球が静止する日」を観てきた。上記の写真は、1951年公開のオリジナル版の宣伝用スチールで、1974年に発売されたリンゴ・スターのソロアルバム「Goodnight Vienna」のモチーフにもなっているアートワークだ。

観たのは、キアヌ・リーブス主演のリメイク版で、六本木のTOHOシネマズで12.19から公開されている映画だ。最新のSFXを用いて撮影されており、なかなかの迫力に仕上がっている。
ロボットの“ゴート”は、より巨大化してはいるが、体躯のデザインは忠実に再現されいて、ハリウッドのリメイクへの流儀を感じさせる作品となっている。

「The Day the Earth Stood Still」は、上記以外にも、横山光輝氏作「鉄人28号」「ジャイアントロボ」や、大映「大魔神」などに、明らかに影響を及ぼしている。

巨大ロボットの原型と考えられるのは、ユダヤ教の伝承のなかに登場する「ゴーレム」で、この題材をはじめて映画化したのはパウル・ヴェゲナー監督による1914年のドイツ映画「ゴーレム」である。
第一次世界大戦が勃発したこの年に、文明がもたらした環境破壊への戒めとして、このような題材の映画がつくられたことは興味深い。

2008年版「The Day the Earth Stood Still」は、クールなクラートゥを演じきるキアヌも良いが、勇気を持って地球のために孤軍奮闘するヘレンを演じるジェニファー・コネリーがオスカー女優らしい名演技を披露している。そして、息子役のジェイデン・スミスがとても可愛い。

科学的な論証はさておき、ヒューマンドラマとして観れば、観ておいて損はない映画である。

2008年12月16日火曜日

映画「ブロークン・イングリッシュ」

「ブロークン・イングリッシュ」のチラシ2種類

神宮前のカフェに置いてあったチラシを2枚もらってきた。
左のヴァージョンが最初につくられ、右が後からつくられたものだ。
WEBサイトのデザインは、右側のトーンが採用されている。

左が男性向け、右が女性向けにデザインされているのは明らかだ。
ジョン・カサヴェテスのファンは男性、ジーナ・ローランズのファンは女性が多いことに配慮して2種類作成したのだろう。

「デザイン」「コピー」「紙質」ともに、中々のクォリティで、この気合いの入り方からして、映画も期待できそうだと思った。

映画評は下記を読んでいただくとして、この映画はファッション的にも見るべきところが結構あって、カサヴェテスを知らない人でも充分楽しめると思う。
恋愛に対して臆病になっている人にも、ぜひ観てもらいたい。

2008年12月14日日曜日

Broken-English

ゾエ・カサヴェテス第一回監督作品「ブロークン・イングリッシュ」を観てきた。彼女は、インディペンデント・ムービーの雄、ジョン・カサヴェテスを父に、名女優ジーナ・ローランズを母に持つ、持って生まれた映画一族の出身だ。

名監督フランシス・コッポラの娘で、一足早く映画監督デビューを果たしたソフィア・コッポラとは親友同士で、共に父親の影響を受けつつも、現代の都会を若い芸術家的な目線から描こうとしている点では共通している。

「ブロークン・イングリッシュ」は、ゾエの実体験を基に描かれたラブ・ストーリーだ。初監督作品にして脚本も同時に手がけているところは、まさに父親譲りといえる。

この映画は、現代のアメリカの特徴でもある、女性の社会進出という一面の裏側をするどく描いてはいるが、決して重いものではない。

“さわやか”とまでは言えないが、苦悩しながらも自分なりの愛を見つけていくひとつの道標として、あるいは亡くなった親族に見守られているという人類共通の心情として、ジーンと心にしみわたる温もりをもった奥深い作品だ。

「人を愛するということは、自分との向き合い方を知ることでもある」と、この映画は教えてくれる。押しつけがましくではなく、この根幹をさらりとさわやかに描いている点で、ゾエ・カサヴェテスの素直さと、静かな才能が観る側に確かな手応えとして伝わってくる。

十数年ぶりに、生涯忘れられないだろう映画と出会うことができた。
ありがとう、ゾエ。そして、ありがとう、カサヴェテス。

2008年12月2日火曜日

The Philosophy of Andy Warhol

Andy is a thief.
アンディは泥棒だ。
Andy is a both swords. 
アンディは両刀だ。
Andy is a rich. 
アンディは金持ちだ。
Warhol is a genius.
ウォーホルは天才だ。
Warhol influenced everyone. 
皆、ウォーホルの影響を受けた。
Warhol influenced me of course. 
もちろん、僕も影響を受けた。