2009年12月26日土曜日

Rubber Soul [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

1965年12月に発売された、6枚目のアルバム「ラバー・ソウル」の2009年版リマスターを聴いた。1987年版の旧CD発売の際に、ジョージ・マーティンによるリミックスが施されているが、今回のリマスターもリミックス版が元になっている。前回のリミックスは、時間をかけて丁寧に行われているせいか、リマスターによる音質の違いはあまり感じられないが、"Nowhere Man"では、出だしのコーラスがひとまわり大きく、リバーブも深くかかっているのがわかる。

全体的に中低音の音圧が加わっているが、ベースの音は太くなっているにもかかわらず明瞭度は上がっている。オリジナルのステレオミックスでは、演奏とボーカルが左右でハッキリ分かれていたが、前回のリミックス時に音は中央に寄せられている。そうはいっても、時代とともに進化している現代的なステレオミックスとは異なり、曲によってベースが左右どちらかに振られているなど、まだまだ改善の余地は残されていると思う。

1999年に映画のリバイバルと合わせて大胆なリミックスが施された「イエロー・サブマリン・ソングトラック」には、賛否両論があるが、いつか必ず再評価される時期が来ると思っている。このアルバムからは、"Nowhere Man"と"Think For Yourself"の2曲が選ばれ、現代風にリミックスされているが、コーラスの定位のさせかたといい、ステレオ的なバランスといい、よく練られてミックスされており、とてもよく出来ていると思う。

ビートルズの音源は世界遺産なのだから、オリジナルをいじるべきではないという意見も解らないではないが、新たな音を加えたり、本来あるべき音を削ったりするのでなければ、リミックス技術を駆使してより聴きやすく自然なステレオにするくらいは許されても良いのではないだろうか。今回のリマスター版を聴いて、より一層この思いが強くなった。いつのことかはわからないが、次回は大胆なリミックス版を期待したい。

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