Gibson の1941年製 アーチトップモデル L-47。1941年といえば、戦火のまっただ中で、真珠湾に日本海軍が奇襲攻撃を行った年でもある。(ヴィンテージ・ギターの世界では、この時代のギターのことを、Pre -War, Post-War と呼んで区別している)。
当時は流行音楽として、ジャズが市民権を得ている時代で、ヒットチャートには、ビリー・ホリディ、グレン・ミラー、ベニー・グッドマンなどの面々が並んでいる頃。
Gibson のギターもこうした時代を反映していたようで、L-47 はジャズのバッキングに最適なバランスでブロックコードが鳴るようにつくられている。
ギブソンのアーチトップといえば、16インチの L-4、17インチ のL-5、L-7などが有名だが、L-30、L-37 から受け継がれたこのギターは、14.75インチと、ひとまわり小振りの設計である。そのためレスポンスの良い、パーカッシヴな響きをもっているのが最大の特徴。
このギターには、米ケンブリッジのカスタムショップによって、Fishman のピエゾPUがインストールされており、エンドピンがそのままジャックになっている。
送られてきたギターをチェックしてみると、大きな改造の跡もなく、PU付きのブリッジ以外は、オリジナルの状態を保っているようだ。
ギターには新品の弦が張られていたが、指板には長年弾かれてついた手垢がびっしりついていた。5フレットから9フレットあたりに集中してついていた手垢が、ブロックコードがたくさん弾かれてきたことを物語っている。当時、ダンスホールのビッグバンドで使われていたであろうこのギターの来歴を想像するのも面白い。
ギターの長年の“憑かれ”をとるために、弦をすべて取り外してクリーニングすることにした。オレンジオイルで指板をはじめギター全体を磨きあげていくと、全体にヴィンテージらしい艶がでてくる。固まっていた手垢も、きれいに拭い取ることができた。
チューニングし直して音を出してみると、最初にサウンドチェックした時とはあきらかに違う音になった。乾燥したアメリカの空気から、湿気の多い日本へと渡ってきたギターには、ただでさえ目に見えない負荷がかかっているはず。
オレンジオイルをギター全体に滲みわたらせることで、木が次第に日本の湿度に慣れてきたのか、乾ききった音に潤いのような響きが加味され、徐々に濁りがとれた透明感のある音になっていく。
Fishman のPUをチェックするために、プラグをつないで Roland の JC-20 から音を出してみると、反応の良い生音とコーラス・サウンドがミックスされて、自然なディレイがかかって聴こえる。これなら、小編成のライブで使っても面白そうだ。
L-47 は、不思議な味をもったギターだ。サウンド的には、L-4 と L-48 のちょうど中間の音とでもいおうか。反応の良さでは L-4 に通じる切れ味を持ち、木の材質にもよるだろうが、L-48 よりも明るいトーンである。ピックよりもフィンガーピッキングで良い味がでそうなギターだ。
4 件のコメント:
今晩は!先日はお邪魔して楽しい時間を過ごさせていただき有難うございました。
相変わらずギター・コレクションが増殖中ですね。
と言いつつ僕も懲りずに本日1961年製ギブソンJ-45を購入してしまいました。
このウィルスは豚よりも強力でお金が掛かるので始末に悪いですね。
お互い早く健康な体と生活に戻りましょう!
こんにちは!1961年製のJ-45ですか。BEATLESが使っていた J-160E と同じ年代ですね。さぞかし高額だったのでは?こんど是非、生音を聴かせてください。
おはようございます。
ギター・ウィルスに侵されてくると、金銭感覚がだんだん麻痺してくるので怖いですね。
ただ今回はアニバーサリーなので、“何か赤いモノ”という事で、家内がプレゼントしてくれました。ぜひ又遊んでくださいね。
記念日に、J-45(レッドサンバーストでしょうか?)を贈ってもらえるなんて、ステキすぎます!
一生モノ間違いなしのギターですね。
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