2018年8月7日火曜日

キャンベル・スープ缶を使った『CAN SPEAK 』をつくった! -3

キャンベル・スピーカーのグリルの真ん中には、丸い穴が開いている。この穴を利用して、スピーカーから出る音を360°に広げられないかと考えた。

スピーカーが上向きに取り付けられた無指向性のスピーカーの場合、音の出口に球体もしくは円錐状の素材を設置すると音を全方位に拡散させる効果があるようだ。


はじめに思いついたのは円錐の錘。金属製のアルミと真鍮のものが候補に上がったが、アルミは軽くて安定性に欠けるのが難点。真鍮は重くて良いのだが値段が高い。考えたあげくズシリと重みのあるスチール球を採用することにした。

スチール球の大きさは31.75mmで、やや大きめのビー玉といったサイズである。
このスチール球を真ん中の穴にのせてみると重量もあるためか、ピタッと止まって安定感もある。
見た目もグリルと同色で、キャンベル缶の丸みを帯びたデザインとのマッチングも良い感じである。

さて、音の変化はどうかというと、音が広がる効果はもちろんのこと、スチール球の重さで缶全体の共振が抑えられるためか、パッシブラジエーターからの低音がよりタイトになり、低音があきらかに増すことが分かった。

(1)グリルなし、(2)グリルのみ、(3)グリル+スチール球を聴きくらべた結果、 (3) の弾力感のある低音の響きが気に入った。

エンクロージャーの重さや厚さに関しては、さまざまな意見があるが、個人的には楽器のように鳴るスピーカーが好き(良く鳴るアコースティックギターほど、木は薄くて軽い)で、従来のような重厚長大型の考え方には異を唱えてきたのだが、このスピーカーに限っては、適度な重さが必要なようだ。

スチール球をのせるだけで、音は空間全体に広がり、パッシブラジエーターが目を覚ましたかのように震えだすのだから不思議だ。試しに、渡辺貞夫の『ウォーターカラーズ』という曲を聴いてみると、サックスの響きがとても自然に聴こえてきて感動した。寺井尚子による『シャレード』のバイオリンもとても自然な響きで生演奏に近い音だ。

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