2010年1月18日月曜日

Past Masters [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

ビートルズのオリジナルアルバムには収録されなかったシングルや別テイクなどの音源を集めた「パストマスターズ Vol.1,2」を聴いた。オリジナルのステレオマスター及びモノマスターが元になっている。


"Love Me Do" (Single Version)は、マスターテープが処分されているため、モノラルのシングル盤を元にリマスターされている。旧CDより低音が強調されており、ベースの音がすこしこもった感じになっている。


"From Me to You"は、旧CDではモノラルマスターだったが、今回はステレオマスターが採用されている。イントロのハーモニーにはハーモニカが入っていない。音質的には旧CDよりもクリアな印象を受ける。次の"Thank You Girl"も同様にモノラルからステレオに変更されている。


"She Loves You"は、2トラックテープが処分されてしまったので、モノラルマスターしか残っていない。複数のテイクをつぎはぎにしてミックスされているため、所々に編集の痕跡が聴き取れる。旧CDでは、1分23秒の箇所でハイハットの音が旧に大きくなっていたが、今回のリマスターでは修正された。


"I Want to Hold Your Hand"は、中低域が持ち上げられて、シャリシャリ気味だった旧CDよりも音のバランスはよくなっている。

"This Boy"は、低音がかなり強調されており、もともと歪み気味だったベースがさらに目立ってブンブン唸る感じになっている。


"Komm, Gib Mir Deine Hand"と"Sie Liebt Dich"は、旧CDではモノラルだったが、今回からはステレオマスターが採用されている。音圧もかなり上げられている。


"I Feel Fine"では、不明瞭だったジョンのボーカルが非常にクリアになっていて、19秒の ~Happy 部分でマイクの音量が振り切っていた箇所も修正されている。


"Day Tripper"では、旧CDでは1分50秒の Try to please her~ の後に、右チャンネルのギターとタンバリンの音が一瞬消えていたが、今回のリマスターでは修正されている。また、2分32秒の ~Yeah の直後も右チャンネルの音が消えていたが、これも修正されている。


"Paperback Writer"では、旧CDにはオープニングのアカペラ部分に、ブーンという低いノイズが入っていたが、今回のリマスターではきれいに消されている。


"Hey Jude"では、旧CDよりもボーカルの音圧は劣るが、1メロで目立っていたヒスノイズが消されている。旧CDよりも4秒長くなっているが、これは次の曲"Revolution"とのブランクを増やしているためで、フェードアウトの位置は変わっていない。


"Get Back"では、旧CDではすこしこもり気味の音だったが、今回のリマスターではかなりクリアになっている。とくにスネアの音が明瞭になっているのと、ボーカルも輪郭がクッキリして聴きとりやすくなっている。


"Don´t Let Me Down"では、旧CDには05秒から11秒くらいにかけて左チャンネルに入っていたヒスノイズが、今回のリマスターでは目立たなく処理されている。このノイズ処理のせいか、音質的には旧CDよりもこもった感じになっている。

"The Ballad Of John And Yoko"では、旧CDのほうが音圧が大きく、左右への広がりも感じられるが、今回のリマスターでは音圧が下がった分、音がクリアになっている。また、最後のフェードアウトのタイミングが異なっており、エンディングのドラムによる締めがはっきりと聴こえる。


"Across The Universe"は、鳥の声が入ったジョージ・マーティンによるプロデュース版で、フィル・スペクターによるアルバム・ヴァージョンとはテープ・スピードがかなり異なる。ネイキッド版(このヴァージョンの"D"が元のキー)と合わせ、3種類のヴァージョンが存在するので、聴き比べてみると面白い。なお、MONO BOX に収められたミックスは今回のステレオ版とは異なるので、それも合わせると4種類の異なるヴァージョンが存在することになる。


"Let It Be"も、スペクター版とは異なるマーティンによるシングル・ヴァージョンである。旧CDには、ボーカル・マイクで振り切ったブレスによるノイズが数十ヶ所にわたって入っていたが、今回のリマスターではそれらが丹念に取り除かれている。デジタル・リマスターによる先端技術の成せる技だ。

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