2011年5月26日木曜日

Gibson L-00(1930'S)リペア記 その4

L-00 のロゴ・リプレイスメントの続きです。まずは表面に塗り重ねたクリアーラッカーを軽くサンディングしてから、ポリッシングで磨きあげます。側面のマスキングを取り外すと、塗装面の縁が直角になっているので、ここもサンディングとポリッシングで面取りしてあげます。

これで、ヘッドのリプレイスメント作業はひととおり終了です。

次はいよいよペグの取り付け。先日加工したオープンバックのペグですが、木と密着するプレート面に金具の凸面が出ているのが問題でした。このまま取り付けると、ヘッド裏の木面を傷めることになります。元々付いていた木面のプレート痕ともピッタリ合いません。

考えた結果、1930年代クルーソン・オープンバックのレプリカを購入することにしました。届いたペグを見てみると、ニッケルの金属パーツがレリック加工されている点は良いのですが、ボタンが真っ白でどうにも雰囲気が合いません。3日ほど日に焼いてみましたが変化が無かったので、ボタンにもアイボリー塗装を施すことにしました。

次はブッシュの埋めこみです。ペグ穴の内径をノギスで測ったところ、0.02mmほど穴を広げなければならないことがわかりました。無理に叩きこむとヘッドの木が割れる可能性があります。今回は慎重を期して金属リーマーを調達して、穴を広げることに。リーマーで内径を広げた後、ブッシュにポンチを当て、ハンマーでびっちり埋めこみました。

左の写真がレプリカのオープンバック・ペグを取り付けたところ。なかなか迫力があります。リプレイスメントといっても、できるかぎり元の状態に戻してあげるのが今回の目的です。試行錯誤しながら、1930年代というギブソンのゴールデンエイジ時代にギターを戻していく作業は、手間隙もかかりますが、それはそれで楽しいものです。

これで、ヘッド部分のリペアがすべて済みました。完璧に元の状態に戻すことは不可能ですが、本来あるべき姿に可能なかぎり戻してあげることで、そのサウンドも含め、楽器が持っていた本来の性能に近づけることができるのではないかと思います。楽器、とくにギターやヴァイオリンなどの木製楽器は奥が深いですね。

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