2011年5月8日日曜日

Gibson L-00(1930'S)リペア記 その2

L-00 のペグ穴補修からの続きです。タイトボンドで埋めた楊枝を喰い切りでカットした後、彫刻刀で余分な木片を切り落とします。ペグを取り付ければ見えない箇所ですが、剥離防止のため同系色のラッカーで塗装してから、クリアーラッカーでシーリングしました。


塗料はカンペハピオの工作用ラッカーを使用。
成分はニトロセルロースと合成樹脂(アルキド)なので、ちょっとした補修に便利です。

続いて、ヘッドの剥離作業を行いました。油性と水性のラッカーやニスも剥がせる塗料はがし液を全面に塗った後、半乾きの状態でスクレーパーで塗装を剥いでいきます。半分ほど剥離できたら、途中からサンドペーパーに代えて塗装を剥いでいきます。木のブロックやゴム当てを使ってペーパーが水平になるようにするときれいに剥離できます。

左が剥ぐ前の状態、右が剥いだ後の状態です。塗装を剥いでいる間は、美術品の塗装を剥がしているような気分になります。物品の素性が露になる、スリリングな瞬間です。このギターの場合は、厚みのあるパールインレイを埋め込むために、ロゴ回りをくり抜いてありました。

塗装の剥離が終わった段階で、リフィニュッシュ用の塗料を買いにいきました。木の目止め用に「との粉」、吸い込み防止用に「セラックニス」、塗装面を水平にしてラッカーをきれいに塗るための「サンディングシーラー」、あとは塗装用のラッカースプレーと、仕上げ用のクリアーラッカーです。

ヴァイオリンの塗装にも使われるセラックニス以外は、サンディングシーラーも含めてすべて同じ成分の塗料にしました。ニトロセルロースと合成樹脂(アクリル)のスプレーです。スプレー式でなければ、ニトロセルロースと合成樹脂(アルキド)の塗料もあるのですが、今回は作業効率の面からスプレータイプを選びました。

右の写真が、との粉で目止めした表面にセラックニスを塗布した状態です。刷毛を使って2度塗りしてから軽くサンディングした後、サンディングシーラーを塗布します。

左の写真がサンディングシーラーをスプレーした状態です。この後、3回塗り重ねてから、水平を出すためにペーパーと当てゴムを使ってサンディングしました。ヘッドの側面側にあった凹みも、との粉とサンディングシーラーできれいに埋まっています。

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