2009年3月11日水曜日

Pioneer PE-101A


Pioneer PE-101A & LE-101A

パイオニアが昨年、創業70周年記念モデルとして発売したのが、このフルレンジスピーカー、PE-101A だ。このスピーカーは、同社のフルレンジの銘機PE-101の復刻版である。

PE-101が発売されたのは1977年。当時は、3ウェイの中型スピーカー全盛の時代で、フルレンジの銘機といえば、DIATONE のP-610Aがその名声を不動にしている以外は、ほとんど見向きもされなかった頃の製品である。

しかし、このPE-101には隠れたファンが数多く、自作派のオーディオファンの間では、今やちょっとした伝説となっているスピーカーだ。

何を隠そう、今から25年ほど前に SANSUI の SP-LE8T を中古で買ってアナログ盤の JAZZ を愛聴していた自分にとって、フルレンジへの想いは今でも強く、LE-8T を友人にせがまれて手放してしまった後も、DIATONEの P-610MA の復刻発売のニュースに胸を躍らされたのが記憶に新しい。

同時に発売されたエンクロージャー KB-610M と合わせて、真剣に購入を考えたが、購入を踏みとどまらせたのは、その大きさだった。
P-610MA のポテンシャルを最大に引出すには、どうしてもあれ位の大きさが必要なのだろうが、住環境を考えるとあのサイズはすこし大きすぎる。

フルレンジスピーカーにふたたび興味が湧きはじめた自分が訪ねた先は、自作派オーディオファンの殿堂、コイズミ無線。場所がラジオ会館から末広町に移ってはいたが、あの独特の雰囲気は今でも顕在である。カタログを買って帰っていろいろ検討した結果、PE-101A と同時に発売されたエンクロージャーの LE-101A を、この際なので一緒に買うことに決めた。

ネットで注文すると、なんとその翌日に宅配便で送られてきた。Amazon 顔負けのスピード納品である。さっそく工作に取りかかったが、組立はドライバー1本ででき、もうすこし工作の楽しみを味わいたいと思うほど、あっけなくスピーカーは完成した。

さて、音出しである。この瞬間ほどワクワクすることはない。オーディオファンなら、誰もが最も楽しみな瞬間ではないだろうか。結果は、良くも悪くも、典型的なフルレンジの音だった。それが最初に感じた素直な感想である。

メインスピーカーが Rogers の LS3/5a なので、どうしても比較して聴いてしまうため、中域が際立ったフルレンジの音に困惑してしまったのだ。しかし、音量を抑えめにして女性ヴォーカルや JAZZ を聴いてみると、PE-101A の真価が徐々に、耳とカラダに浸透してくるのがわかった。この経験は、LE-8T との出会いを彷彿とさせるものだ。

しばらく色々なソースをかけていて思ったのは、耳がまったく疲れないということ。どんなに良い音でも、2時間以上音楽を聴いていると、耳が疲れてきて休憩したくなるものだが、PE-101A の音は耳障りな刺激が非常に少ないことがわかった。

YAMAHA の定番スタジオモニター、NS-10M にも通じるナチュラルサウンドだが、NS-10M はあまりに普通すぎて面白みに欠けるところが欠点。PE-101A は、小音量で長い時間音楽を聴きたい人にはうってつけのスピーカーだ。

これは勝手なイメージだが、森の中にある小さな喫茶店に置かれていて、真空管アンプで趣味の良い JAZZ や CLASSIC が小音量でかかっている...そんなシチュエーションにうってつけのスピーカーである。
聴きこめば聴きこむほど味が出てくる、アメ色に変化していくヌメ革のような音とでも言おうか。

昨日セッティングを終えてからというもの、24時間にわたって iTunes から Air Mac 経由でエージングしている最中だが、音はどんどん良くなっている。

試聴環境
アンプ:AURA VA-150
    CONSONANCE M100S Plus(300B真空管アンプ)
CDプレーヤー:AURA CD-100
アナログプレーヤー:Victor QL-Y44F
カートリッジ:SHURE M44G
メインスピーカー:ROGERS LS3/5a

エージング環境
Mac Mini (iTunes) → Buffalo BBR-4HG → Air Mac → VA-150 → LE-101A(PE-101A)

セッティング篇の続きはコチラ

0 件のコメント: