名監督フランシス・コッポラの娘で、一足早く映画監督デビューを果たしたソフィア・コッポラとは親友同士で、共に父親の影響を受けつつも、現代の都会を若い芸術家的な目線から描こうとしている点では共通している。
「ブロークン・イングリッシュ」は、ゾエの実体験を基に描かれたラブ・ストーリーだ。初監督作品にして脚本も同時に手がけているところは、まさに父親譲りといえる。
この映画は、現代のアメリカの特徴でもある、女性の社会進出という一面の裏側をするどく描いてはいるが、決して重いものではない。
“さわやか”とまでは言えないが、苦悩しながらも自分なりの愛を見つけていくひとつの道標として、あるいは亡くなった親族に見守られているという人類共通の心情として、ジーンと心にしみわたる温もりをもった奥深い作品だ。
「人を愛するということは、自分との向き合い方を知ることでもある」と、この映画は教えてくれる。押しつけがましくではなく、この根幹をさらりとさわやかに描いている点で、ゾエ・カサヴェテスの素直さと、静かな才能が観る側に確かな手応えとして伝わってくる。
十数年ぶりに、生涯忘れられないだろう映画と出会うことができた。
ありがとう、ゾエ。そして、ありがとう、カサヴェテス。
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