The NoteBook の語り部役には、ベテラン俳優のジェームス・ガーナー、相手役はニックの実母であるジーナ・ローランズという往年のハリウッド・スターを起用し、アメリカで450万部を超えたベストラー小説を映画化している。
1940年代を舞台に男女の恋愛話を私小説化した主人公が、歳を重ねた現代、ある女性にその物語を読んで聞かせるという手法で、映画は淡々と進んでいく。青春時代の男女を演じるのは、俳優ライアン・ゴズリングと、女優レイチェル・アダムスで、共にカナダ出身である。この二人が中々息のあった魅力的な演技を見せており、二人はこの共演がきっかけで実際に交際していたそうだ。単なる恋愛映画で終わらせないのは、ガーナーとローランズの存在感があってのことだが、年齢の異なる二組のカップルを巧みにストーリーの軸に据えている点は、原作の小説も同様のことだろう。
ニックの実の妹、ゾエ・カサヴェテスも一昨年「ブロークン・イングリシッユ」で監督デビューを果たしたが、ゾエの作品が自分の経験をもとに書かれた物語だったのに対し、今回のニックの映画は共にベストセラー小説をもとにしており、ある意味で監督業に徹しているようにも思える。
一方の My Sister's Keeper のほうは、難病を抱える娘を抱える家族の物語だ。病気持ちの娘を執拗に保護しつづける母親役をキャメロン・ディアスが演じている。父親役はジェイソン・パトリックが演じているが、この映画で興味深かったのは、脇役として登場する弁護士と医師の人物像だ。いつも控えめで感情を露にしないが、優しい心を持つ父親とは異なり、弁護士はいたって情熱的であり、医師のほうはいたって冷静である。
この相反する二人の人物に、ジョン・カサヴェテスの影を感じるのは私だけだろうか。病気持ちのケイト役を演じるソフィア・ヴァジリーヴァの悲しみと希望が交じった感情が同居する笑顔が印象的だった。二本の映画とも、音楽が効果的に使われており、過剰な演出を感じさせない淡々とした映像に花を添えている。
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