YAMAHAのDynamic Guitar No.10(Open G)
YAMAHAのDynamic Guitarは、1960年代の鉄弦ギターである。スロッテッドヘッドのこのギターは、一見するとガットギターのように見えるが、ギター内部のブレイシング(力木の配置)が通常のガットギターとは異なり、張力の強いスチール弦に耐えられるように設計されている。ネックは12フレットでジョイントされており、使用木材やブレイシングも相まって、名前どおりのダイナミックなサウンドが魅力である。
このNo.10は、都内の楽器屋で950円で売られていた。見せてもらうと、ブリッジが剥がれかかっており、このままでは使えない状態なのでその値段なのだという。
「試奏されますか?」と聞かれたので「この値段なら、買います」と答えて、このNo.10を救出してきた。
持って帰ってギターを点検してみると、ペグはきれいに清掃され、弦も新品に交換されている。サドルは真鍮のものが使われており、これを削るのは骨が折れそうだ。まずは、ブリッジを一旦取り外して再接着を試みることにした。
ブリッジの中心にある丸いドットを取り外すと、マイナスネジが現れるので、CRCを吹いてからネジを緩めていく。
ネジは結構深いものが使われており、最後まで緩めきると、ボディ内部からカチッという音が聞こえた。内側にワッシャーが2枚仕込まれていたのだ。
ブリッジは張力でへの字型に変形しており、隙き間にはニカワの接着剤が見える。ドライヤーで接着剤を温めてから、金属のヘラをブリッジとボディの間に差し込み、ゆっくり剥がしていく。ブリッジは、意外と簡単に取り外すことができた。
次に、への字に変形したブリッジが水平になるよう、万力で固定してドライヤーで熱を加えながら数時間放置させる。だいぶ水平に戻ったところでブリッジに万遍なく木工用ボンドを塗って、ボディと貼り合わせる。この際、取り外したネジを再度取り付けてブリッジを固定させる。次にブリッジの外周全体をボンドでシールドする。(ボンドは乾くと半透明になるので、目立たなくなる。今回は木工用を利用したが、プロ用のタイトボンドがお薦め)
ボンドが半乾きの状態で弦を張ってみると、ネジの力と反対方向の力が加わるので、ブリッジ全体が均等の力で押されて、ボディとより密着することがわかった。
この状態で、3日間ほど放置。
ブリッジの変形はほぼ無くなり、ぴったり接着することができた。
次に、順反りのもうひとつの要因となっている「ネック起き」を補修するため、ギターをうつ伏せに寝かせて、ボディの上に20kgほどの重りを載せる。オーディオ用の真空管アンプを利用した。この状態で、ネックの付け根まわりにボンドを厚めに塗ってシールドする。
このまま、5日間ほど放置。
これで弦高はだいぶ低くなったが、まだ充分とはいえないので、ブリッジのサドル受け部分をダイヤモンドやすりで削っていく。
弦がブリッジに接触しないギリギリの高さまで削り、この状態でノーマルチューニングに合わせてみた。弦高は12フレットで6弦側が4.5mm程度。普通のギターとしてはまだ弾きづらいので、スライドギター専用にすることに決めた。オープンGなら、弦を弛めることができ張力も低減できて一石二鳥である。
仕上げは、ペグを取り外して左右交換。ヘッド表面にチューナーがくるようにすることで、寝かせて弾くことの多いスライドギター向けのセッティングに仕様変更した。
ボディ全体に入ったウェザーチェック模様も含め、ブルージーな雰囲気のスライド用ギターが完成した。
Dynamic Guitar No.10A の生音はコチラから聴けます。
4 件のコメント:
Hello Good 1 May. I salute you, Michael
Ευχαριστώ. Είμαι χρησιμοποιώντας ένα Nikon F3.
ダイナミックギターっていいですよね!
私も赤枠ラベルのNO.15を所有していますが、なかなか良い音で鳴ってくれます。
私が手に入れたギターはかなり程度が良くて、ネックの反りもなく、鉄弦を張っても、弦高は3mm程度と弾き易いです。
また遊びにきます~!
Manboさん、はじめまして!
No.15は、たしか輸出仕様でしたね。
程度の良いダイナミックギターは少なくなっておりますので、末永く可愛がってあげてください。
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