2018年3月13日火曜日

ミュージカル『HEADS UP!』を観てきた!

2018年3月9日(金)、TBS赤坂ACTシアターで行われたミュージカル『ヘッズ・アップ!』を観てきた。このミュージカルは、芝居のバックステージをテーマにしたストーリーで、構想から10年を経た2015年に初めて上演されたもの。

今回は「都民芸術フェスティバル」現代演劇公演のなかのプログラムとして、2018年3月2日(金)~12日(月)まで上演された。「都民芸術フェスティバル」には、他にもクラシックオーケストラ、室内楽、オペラ、寄席芸能、バレエ、邦楽、日本舞踊、能楽、現代舞踊などのプログラムがあり、それぞれに抽選でチケットプレゼントという特典が付いている。

このチケットプレゼントに応募したところ、うれしいことに『ヘッズ・アップ!』の当選が決まり、夫婦で芝居を観に行くことになった。ミュージカル映画は何度も観たことがあるが、ミュージカルを生で観るのはこれが初めてのこと。どんな体験となるのかワクワクしながら赤坂へと出かけていった。


芝居は、劇場の管理人役がストーリーテラーとなって始まり、軽快なダンスと歌でテンポよく話が進んでいく。ストーリーの筋は、舞台監督の交代劇を柱とするが、舞台美術の職人3人によるユーモアが全体の流れを引っぱるかたちで話が展開する。

興味深かったのは、芝居の舞台裏には演出家、舞台監督、制作という3人のスタッフが中心にいて、それぞれが別の責任を持つ点を細かく描いているところ。出演者と同様にスポットが当たる演出家とは異なり、舞台監督や制作はあくまでも裏方であり、通常は表面に出てくることはない。しかし、このミュージカルの主役は舞台監督で、さらに裏方の色合いが濃い舞台美術を準主役に据えている。実際の舞台には、この他にも照明や音響、衣装やメイクといった裏方がいて芝居の世界は成り立っている。

私は過去にパナソニック主催による『東京パーン』という汐留にあった劇場で、海外アーティストを招聘して実験的なライブを行う『HI-REAL』というイベントに約3年にわたって携わった。オーネット・コールマン、テリー・ライリー、クリスチャン・マークレイ、サイキックTVといったアーティストのライブ・パフォーマンスと、当時最先端のデジタル技術を駆使した映像、照明、美術、サウンドシステムを総合的にミックスするという、非常に実験的なイベントである。私はこの仕事で制作を担当していた。

コンサートでは、演出家にあたる役目をアーティストやプロデューサーが担うことが多いため、芝居における演出家のような役割は存在しない。また、映画の世界では舞台監督の役目は、助監督が行うことが多く、舞台監督のような役割は存在しない。演出家、舞台監督、制作の三者がそろうのは芝居の世界だけなのだ。

芝居を観ていると、かつて制作を担当したころのほろ苦い思い出が何度もよみがえった。成功したことよりも、冷や汗をかくような失敗のほうが深く記憶に刻まれるもので、舞台で演じられるさまざまなストーリーをなつかしい思いで鑑賞している自分がいた。『ヘッズ・アップ!』の意味については、劇中で重要な場面として描かれているので、ここでは触れないでおこうと思う。

脚本:倉持裕 原案・作詞・演出:ラサール石井 作曲・音楽監督:玉麻尚一 出演:哀川 翔 相葉裕樹 橋本じゅん 青木さやか 池田純矢 今 拓哉 芋洗坂係長 オレノグラフィティ 陰山 泰 岡田 誠 河本章宏 井上珠美 新良エツ子 外岡えりか 大空ゆうひ 中川晃教 ほか

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