桜の季節になると毎年、フライトジャケットを着たくなる。冬にお世話になったダウンジャケットから、フライトジャケットに衣替えするのにちょうど良いのが、桜の季節なのである。
フライトジャケットのなかでも、春秋にちょうど良いのがA-2。着込まれて味の出ているA-2はないかと、オークションを見ているとブランド不明のA-2が目に止まった。さっそく即決価格の税込4,957円で落札。
通常のA-2との違いは、シープスキンである点。A-2は本来ホースハイドなのだが、馬革は硬くて体に馴染むまでに時間がかかるのが難点。実は以前、旧リアルマッコイズのA-2 The Great Escapeモデルを所有しており、着心地の悪さはよく知っている。今回のA-2は、シープスキンなのでやわらかく、その心配はない。
私がA-2と出会ったのは、小学校4年のときにはじめて『大脱走』がゴールデン洋画劇場でテレビ放送されたときのこと。前編、後編と2回に分けて放送された『大脱走』の衝撃は凄まじいもので、スティーブ・マックィーン演じるヒルツ大尉が着ていたA-2は、強烈な印象として脳裏に焼き付いた。
その後、A-2が市場に出まわるのは、1987年にリアルマッコイズの創業者である岡本博氏が雑誌『ポパイ』の特集で300着限定で世に出したのが最初で、それまでは『トップガン』でトム・クルーズが着たG-1がフライトジャケットの定番だった。A-2はながらく幻のフライトジャケットだったのである。
さて、落札したA-2が届いたので細部を見てみると、タグにはたしかにTYPE A-2と縫われているものの、ディテールのいくつかはG-1仕様となっている。ざっと見たところ、以下の点がA-2と異なる部分である。
1)両袖にリブがない
2)ジッパーがプレートではなくワイヤー式
3)左側ポケットにG-1と同じペン用のポケットが内蔵されている
4)両方のフロントポケットにサイドポケットが付いている
6)左右のライナーに胸ポケットがある
一見すると普通のA-2だが、着やすさと実用性を重視してつくられているのがわかる。適度なヤレ具合に長年着込んだ味がでており、ほぼイメージ通りのA-2だったので良しとしよう。実際に着てみると、若干ダボッとした感はあるが、体に密着しすぎないので着心地はいい。
A-2特有のタイトなシルエットがないのが惜しいところ。そこで、少しでもA-2らしくするために、腕章のAAFデカールを貼ってみることにした。使用したのは、大阪のミリタリー専門店『MASH』が発売している、AAF Decal 革用 “熱&水”転写 Full Color というデカールで、送料込みで2,700円のもの。
ホームページに詳しく取り付けマニュアルが載っているので、それを見ながら慎重に作業をしたところ、なんとかうまく貼り付けることができた。ホームページにも載っているが、アイロンとドライヤーは必須である。
写真は、アイロンによる熱転写後、デカールの台紙に水を筆で塗り拡げ、1分ほど放置してから台紙をデカールから取り除いている状態。この後、ティッシュで水分を吸い込ませてからドライヤーでデカール表面を乾かし、そのまま動かさずに2時間ほど放置すれば作業は完了だ。
2時間ほど、そのまま放置すると、デカールはうまく革に定着してくれた。AAF(ARMY AIR FORCE)のデカールが肩に入るだけで、グッとA-2らしい雰囲気になった気がする。
これを着て桜が満開の地元を歩いてみたのだが、3月末とは思えない23℃の陽気だったので、TシャツにこのA-2を着ているだけでもうっすらと額に汗がにじむほどだった。
このデカールによる効果はテキメンで、付ける前と後ではあきらかに周囲の反応が変わった気がするのは自意識過剰すぎだろうか(笑)。旧リアルマッコイズのA-2のときは、革が硬い上に見た目も真新しくてちょっと気恥ずかしさを感じたものだが、このA-2にかぎっては適度なヤレ感があるため体にすぐ馴染んだので、自然な着こなしができて心地良い。
このA-2購入をきっかけに『大脱走』をDVDで見直してみると、マックィーンのA-2は結構しなやかで、そのラフな着こなしぶりからもホースハイドではなくゴートスキン(山羊革)ではないかと思うのだが、いかがだろうか。
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