2002年製のGibsonカスタムショップL-1も軽いギターでしたが、今回入手した L-1は、ただ軽いだけでなく、しっかりとした剛性も感じる軽さなのです。
製造から86年の月日を経て、木が乾燥していくことで徐々に軽くなっていくという、その熟成の歴史が自然と刻まれている・・。
木を手の甲でコンと叩いてみると、固い木の感触の先に、コーンという深い響きが轟いて、乾いた音がホール全体に共鳴する独特の残響が広がります。
音の大きさは、チューニングしている段階から十分に伝わってきました。ギターというヘルムホルツ共鳴器がもたらす音の増幅力を、これほどまでに体で感じたことはありません。
ギターがまるでひとつの生き物のように、渾身一体となり全体で鳴り響いているのです。しかも、まったく無駄のないこの小さなボディから。
1930年代のL-00も箱鳴りが素晴らしいギターですが、1920年代のL-1はさらにその上をいきます。これは12フレットジョイントという構造的な違いによるものでしょう。
どちらも手工品ではなくメーカー製ではありますが、80年のシーズニング期間を経て驚異の音量と音質を誇るギターに成長しているのは間違いありません。
私は、これまでにValley Artsの1995年製と、Gibsonカスタムショップの2002年製の2本のL-1を所有しておりました。Valley ArtsのL-1は、故ロバート・ジョンソンの代理人と、ビルダーの直筆サインが入った証明書付きのもの。
今回入手したGibson L-1(1929)は、まさにその原型で、ロバート・ジョンソンが実際に使っていたのと同じ仕様です。
これらを比較しての感想としては、やはり本物のヴィンテージの音が断然素晴らしいということ。L-00でも新旧の比較試奏をしましたが、まったく問題にはなりませんでした。“古ければ古いほど良い”というのはワインとギターの世界では迷信ではないことをあらためて実感しました。
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