No.70 の指板はとても厚みがあって固く、ネックはやわらかいので角度をつけやすいという特性を生かして、逆反りのクセを付けてあげれば良いことに気づいたのです。早速、作業台の上にギターを逆向きにセットして、L型クランプで固定しました。
かなり原始的な方法ですが、ニカワがやわらかい状態で強烈な太陽光の下にしばらく置いておけば、それなりの効果があるはずと考えました。
逆反り状態まで持っていくために、ナット部分に当て木をはさんで嵩上げし、様子を見ながら2日間放置してみました。
この方法は、かなりの効果があり、大きく元起きしていたネックの付け根は、クランプを外しても安定しています。弦を張ってみると、部分的に音が詰まるほど、弦高を下げることができました。
理想は、弦をチューニングした状態で、12フレットの弦高が2.5mm以内であること。弦を張った状態で3日ほど置いてみると、音詰まりもない理想的な角度になっていました。ここで一旦、弦を外してニカワの乾燥を待つことに。ちなみに前回紹介した、指板を剥がすときに道連れにしてしまったトップは、裏側から当て木で補強してあります。
このNo.70は、ネックが太くて特にローポジションでの弾きづらさが難点です。指板を再接着した際に、わずかに指板が広がってネックとの間に段差ができてしまった(おそらく、ネックのほうが蒸気を吸って縮んだものと思われます)ので、この段差を削るついでにネックの裏側も削って弾きやすい太さにすることにしました。
サンドペーパーでサンディングして、ネックを削った状態です。弾きやすい太さになるまで、他のダイナミックギターと比較しながら、時間をかけて削る作業を行いました。
削った部分に、目止め用のセラックニスを塗った状態です。更に染色しながらセラックを重ね塗りしても良いのですが、これはこれで結構味があって気に入ってます。
リペアが終了したダイナミックギター No.70。
ブリッジのネジ隠しに、パールインレイを接着して化粧直しも終えました。
ブリッジのネジ隠しに、パールインレイを接着して化粧直しも終えました。
とても手のかかるリペアとなりましたが、愛らしいデザインを持つ貴重なギターを復活させることができてホッとしています。良い経験になりました。
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