さて、いよいよネックリセットに取りかかることに。まずは、ネックジョイント部分にスチーム用の穴を開けます。ネックジョイント部の空洞位置(ネックポケット)を予測して、インレイの内側にあたる部分にドリルで2mmの穴を開けました。
次に、シリコンラバーヒーターを使って指板を温めてから、スクレイパーで指板を剥がしていきます。このギターは、ネックの元起きによる圧力で指板がトップにめり込んでいる状態です。水平に剥がしたかったのですが、トップの一部がめくれてしまうのは避けられないようです。
ネックの付け根部分まで指板を剥がしたら、いよいよスチームの注入です。リムーバルジグを取り付けた状態は、まるで救命道具のようです。ドリルで開けた穴にスチームの管を差し込み、ポンプ式のスチームクリーナーから、高温の蒸気をネックに注入していきます。
しばらく蒸気を注入していくと、12フレットの四角いポジションマークが浮いてきました。インレイを取り去ると、ネックヒールの位置に丸い穴が開いており、そこから溶けたニカワが吹き出てきました。
頃合いを見て、ネックヒール裏にセットしたリムーバルジグのネジを締めてみましたが、ネックはビクともしません。ネックポケットの位置がずれている可能性があるので、もう1カ所ドリルで穴を開けてスチームを注入しましたが、やはりネックは外れませんでした。
頃合いを見て、ネックヒール裏にセットしたリムーバルジグのネジを締めてみましたが、ネックはビクともしません。ネックポケットの位置がずれている可能性があるので、もう1カ所ドリルで穴を開けてスチームを注入しましたが、やはりネックは外れませんでした。
こうなると、指板をすべて剥がしてみないことには、先に進めません。ラバーヒーターで指板全体を温めてから、スクレイパーで剥がし取りました。指板を取り外してみると、ネックジョイント部分は写真のような構造でした。ネックポケットはなく、接合部がぴったり密着していて、これではいくらスチームを注入しても外せないはずです。何故か12フレット位置に丸い穴がくり抜いてあり、ニカワはこの穴から吹き出たものと思われます。
ちなみに、最初にドリルで開けた穴は、ネックブロックとの接合部に的中していました。
ダイナミックギターすべてがこの構造なのかはわかりませんが、少なくとも初期のものはネックの取り外しは避けたほうが無難のようです。
無残にもめくれてしまったトップは、後で修復してあげる予定です。
0 件のコメント:
コメントを投稿