同じ年に、YMOが結成され、翌年にはワールドツアーを行うなどして大ブレイク。日本でもテクノブームが巻き起こり、比較的廉価だったMS-20は売れに売れ、どの楽器店へ行っても売切れで手に入らない状態が続いていた。
YMOデビュー以前からプログレッシブ・ロックやユーロ・ロック(ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、スペイン、ギリシャなどのヨーロッパのロック)が好きだったわたしは、新宿西口にあった『新宿レコード』(現在は下北沢に移転)に入り浸り、輸入盤を買い漁っていた。
そのきっかけとなったのはピンク・フロイドとイエスだったのだが、次第にUK系プログレでは飽き足らず、ユーロという迷宮の森に嵌ったなかでも究極の到達点と感じたのがブライアン・イーノとヴァンゲリスとの出会いだった。今でこそ、二人とも巨匠として知られるが、1970年代後半はまだマイナーな存在で、だれも知らないようなアーティストだった。
しかしこのMS-20、マニュアルを読みながら使ってはみたものの、使い方がとても難しく、十分に使いこなせないまま、いつしか部屋の片隅でホコリをかぶってしまう運命を辿った。ちょうど免許を取ってクルマに乗り始めた時期でもあり、部屋にこもってシンセを弾く人生より、クルマの助手席に乗ってくれる女性を探す人生を自分は選んだのである。
それから月日が経ち、KORGが1988年に発売したデジタルシンセの M1(定価248,000円)を、社会人となったわたしは入手した。MS-20との違いは、ポリフォニックであること。MS-20が単音つまり鍵盤一つの音しか出ないモノフォニックだったのに対して、M1は同時に16の鍵盤から音を出せるのが最大の違いだ。
M1はプリセット式で簡単に音が出て、デジタル特有の冷たさはあったが、創作意欲を掻き立たせる深遠な響きが特徴で、MS-20とは違ってとても使いやすかった。
M1の人気が下がって中古品が出まわった時期には、中古楽器屋で1万円以下で売られているのをよく見かけて寂しい思いをしたものである。一方、MS-20の市場価値は、右肩上がりで一時は12〜16万で取引されていたほどだ。
そんなMS-20も復刻品が登場してその人気も落ち着いてきた、2016年初頭に突然発売されたのが KORG minilogue だった。37の鍵盤を持ち、同時に4つの和音が出せるコンパクトなポリフォニックシンセで、デザインもすばらしい。
そして、この minilogue のデザインを踏襲して2016年暮れに発売されたのが KORG monologueだ。minilogue をさらにコンパクトにして鍵盤を25に減らし、モノフォニックにしたアナログシンセで、MS-20の後継機ともいえる機種だ。定価34,000円(税別)とお手頃なのもうれしい。
デスクトップの上に置いて、仕事の合間に音を出して楽しんだり、MacBookとリンクさせて多重録音するのも面白そうだ。
渋谷の楽器屋に中古品があることを知ったので、電話で予約をして実機を見に行くことにした。
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