簡単に説明すると、ドラムや太鼓の音が丸い空洞を共鳴させて音を増幅するのと同じ原理である。
ご存知のように、スピーカーはコーン(スピーカー表面の皮)がピストン運動することによって音を伝達させる仕組みだ。
常に同じ周波数の音波をコーンの表裏で発生させており、スピーカーユニット単体で音を出すと、滞留する性質をもつ低い周波数同士は干渉して音を打ち消しあうため響かない。拡散する性質をもつ高音だけが聴こえるのはこの波の干渉原理があるためだ。
つまり、スピーカーとは極論してしまえばエンクロージャーやバッフルを使っていかに低音を増幅するかということにつきるのである。今回製作した『CAN SPEAK』は、円筒内を音波がリング状に伝わる特性を利用して、これを底面で跳ね返らせ、低域を増幅させると同時に、高域はユニットから4つの方向へ拡散させることで全方位に広げる構造となっている。
スピーカーユニットには、マレーシア製の5cmフルレンジ OAF16439A1(16Ω 5W)を使用。ある程度、エイジングに時間のかかるユニットで、鳴らし続けるほど音が良くなっていく育て甲斐のあるユニットだ。
音楽をシャッフル再生させながらさまざまな音源を聴いてみたが、『CAN SPEAK』の音は一種独特である。今までに聴いたどのスピーカーとも異なる種類の音だ。全体にエコーがかかり、モワーンとした音が空間に広がっていく感じ・・・。
ちなみに音の出口となるコーン以外のすき間にはシリコンを埋め、密閉しているので空気は漏れていない。従来のハイファイサウンドとは異次元の音だが、不思議な味が感じられるのも事実だ。
『CAN SPEAK』とは、言葉が通じるという意味だが、日英共通の発音で同じ意味を持つ「缶」と「CAN」にスピーカーの「SPEAK」を足してつくった名称である。
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