表参道から原宿のキャットストリートを北に向かって歩き「ユナイテッドアローズ」の手前の小さな通りを左に曲がった場所、渋谷区神宮前3丁目28番地に、なんとフィルムカメラの専門店がオープンした。その名も『filmcamera tokyo』。
2011年には代官山の「Tサイト(蔦屋)」敷地内に、Leicaなどの高級機を扱う『北村写真機店』がオープンしたり、2013年には秋葉原のアートギャラリー「3331 Arts Chiyoda」内に、ロシアのトイカメラを中心にした専門店『lomography』がオープンしたりと、少しずつではあるが、流行の発信源ともいえる場所にフィルムカメラのお店ができているのは、うれしい限りだ。
ちょっとしたブームとまではいかないまでも、こうしたお店が新しくオープンして雑誌やSNSなどで紹介されることで、フィルムカメラにしかない魅力をデジカメ世代の人々に知ってもらえるのは大歓迎である。
利用者が増えれば、フィルムへのニーズが高まり、アナログ・レコードのようにマーケットが広がれば、ふたたびコンビニなどでフィルム現像/プリントの取り次ぎが復活するのではないかという淡い期待を抱いている。
モノクロの銀塩写真であれば、現像から引き伸ばしまで個人で行うこともまだ可能だが、カラーフィルムの現像となると作業が非常に複雑で、コストのかかるネガ現像機などを用意せねばならず、個人ではなかなか手を出せない状況である。
現在は、大型カメラ店などの現像/プリントサービスや、個人経営のプリント郵送
サービスなどを利用する以外に方法はないのが現状だ。
もっと深刻なのは、デジカメの使いかたがわからない、70代以上のシニア層のカメラ・写真離れが急速に進んでいる点だ。
かつては近所のコンビニに行けばどこでも取り次いでくれていた現像/プリントだが、今では遠くの街までフィルムを持っていかなくてはならず、しかもそのサービスの値段は驚くほど高い。
1990年代末頃までは、同時プリント(現像からプリントまで)ならすべて込みで500円以下というのが当たり前だったのが、今では36枚撮りフィルムで1,900円ほど・・・何と20年前の4倍もコストがかかってしまうのが現状だ。
デジタルカメラはすぐその場で写真が見れるという意味では、たしかに便利であり紙や工業廃棄物も排出せずに使用できるという面では環境にもやさしい優れた道具である。
しかし、写真をプレビューしたりプリントするにはパソコンやプリンターなどのデジタル機器が欠かせず、フィルムカメラのような身軽さがないのが最大の弱点である。
家庭で簡単に現像からプリントまで自動的にできる魔法のような機械が開発され、手軽に買える値段で出回れば、フィルムカメラ産業の奇跡的な復活も決して夢ではないだろう。
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