ikeda Productの金属ケースも良いのですが、自分でもオリジナルのケースを製作してみたくなりました。

表面と裏面パネルはアルミ製にして、上下及び側面は木製というのが、自分がイメージするデザインです。
このケースを作る上で、もっとも難しそうなのが、アンプ背面の裏板の製作。この裏板ができなければ、ケースの製作は先に進みません。
そこで、アンプ背面の端子位置を測り、裏板を製作するための図面を起こしました。
DIYショップで図面をもとに相談したところ、アルミ板を切断するには端に最低でも8mm、穴と端の間にも最低2mmの余白が必要とのことです。そこで書きなおしたのが2枚目の図面です。
上段に2mm、下段に4mmの余白ができますが、上下の板にスリットを開けて裏板をサンドイッチしてあげれば、余白が見えなくなると同時に裏板を固定することもできそうです。

問題は、スピーカー端子を固定する2つの穴を自分で開ける必要があること。
表板は、基板に付いているダイオードを透過させ、熱も逃がせるという2つの利点を考慮して、パンチングメタルにすることを思いつきました。さて、どうなることでしょう。
Stereo誌の付録デジタルアンプLXA-OT1とLXA-OT3は、基板むき出しのままでも使えるとはいえ、通電中のショートなどを防ぐためには、やはりケースに入れて使ってあげたいものです。
ネットで検索すると、さまざまな自作ケースが公開されていて、なかなか興味深いものがありました。秋葉原などで売っている金属ケースを利用したものから、すべて木工で作られたもの、100円ショップのプラスティック製ケースを利用したものまで、さまざまです。
いいなと思ったのは、ikeda Productによる「LXA-OT1用アンプベース」という製品。すでに製造中止となっておりましたが、音楽の友社が運営するサイト「オントモ・ヴィレッジ」の通販ではまだ売っているようです。
価格は税込で14,040円(LXA-OT3付き)とやや高価ですが、通常これだけの精度で金属加工を行えば、さらにコストがかかるのは目に見えており、金属の切削加工技術をあらかじめ持っている会社でないとできなかった製品ともいえるでしょう。
開発者らしき方のブログを読んでも、随所に製品へのこだわりを感じさせます。まだ入手できるうちに1台だけでも買っておこうと、ついつい購入ボタンを押してしまいました。
そして届いたのが、写真のケースです。裏板一体型のシャーシ、ベース、ボンネット、ノブのすべてがアルミやスチール等の金属を加工してできており、加工精度も非常に高く、十分満足のいくものでした。
Stereo誌の2014年1月号の付録、ラックスマンのデジタルアンプ、LXA-OT3を試してみました。
既に完売となっているこの号ですが、amazonで検索してみると新品を在庫しているお店があったのでさっそく注文してみると、翌々日には実物が届きました。
送料込みで4,063円(定価3,700円)でしたが、中古品がプレミアム価格で取引されていることを考えれば、まずまずの買い物かもしれません。
さっそく箱から取り出してみると、基板むき出しのアンプ本体が出てきました。基板部分のサイズが94mm×53mmしかなく、ちょうどタバコ1箱くらいの大きさです。
このコンパクトさにもかかわらず、出力は12W+12Wを誇るとのことで、一般家庭で使用するには十分すぎるくらいのパワーです。
さっそく、自作のトールボーイ型8cmダブルバスレフスピーカーで音を聴いてみると、デジタルアンプとは思えない温かなサウンドが響いてきました。
TripathのTA2020-020を使ったデジタルアンプのLepai LP-2020A+と比較すると、高域が抑えられた分、透明感では劣るものの、まろやかで温もりが感じられる音です。スピーカーとの組み合わせ次第では、さらに良い結果が期待できそうな印象です。
LXA-OT3が思っていた以上に良いものだったので、初代のLXA-OT1のほうも気になっていたところ、Stereo誌 2012年1月号が未開封でオークションに出品されていたので、思わず落札してしまいました。こちらは、送料込みで1,956円(定価2,800円)。
基板サイズなどの仕様はOT3とまったく同じで、出力は5W+5Wと低くなりますが、音質的に大きな差は感じられず、定価のことを考えるとOT1のコストパフォーマンスの高さが際立っていると思います。
ジョージ・ハリスンがミュージシャンとして最高に輝いていたのは、ビートルズ後期の1968年から解散後の1971年頃にかけての3年間ではないだろうか。
1973年の「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」、1979年の「慈愛の輝き」、1987年の「クラウドナイン」も良いアルバムだが、1968年から1971年の3年間にジョージが発表した珠玉の作品の数々の前では、どうしても色褪せてしまうのである。あの頃の作品は群を抜いて素晴らしく、バングラディシュのコンサートのジョージにいたっては、神がかってさえ見えてしまうのだ。
ビートルズ時代に書きためていた曲を集めて一気に発表した大作「オール・シングス・マスト・パス」を引っさげて、ロック史上初の大がかりなチャリティ・コンサート「バングラディシュのコンサート」を成功させ、音楽的にもビートルズから一皮むけた大人っぽいサウンドをジョージは作り上げている。
これらはプロデューサーのフィル・スペクターの力も大きいが、そのスペクターを起用したジョージの審美眼なくしては生まれなかったもので、あのウォール・サウンドやスワンプ・ロック的なアメリカ南部の香りも含めて、アルバムはジョージのイメージ通りに編みあげられていったと考えるのが妥当ではないだろうか。
解散後、もっともビートルズに貢献した男は、ジョージ・ハリスンではないかと最近思うのである。まるで悟りを開いたかのような「バングラディシュのコンサート」のジョージの姿は興味深い。ショービジネスの世界で、ソロとして成し得た大きな成功の最中を思えば、もっと浮かれていてもいいはずである。しかし、ここでのジョージはあくまでも静かだ。
ビートルズというカブトを脱いだ、裸のジョン・レノンが「ジョンの魂」を、ソロアーティストとして、ごく私的な音世界に耽っていたポール・マッカートニーが「マッカートニー」を各々発表するものの十分な評価を得られないなか、ジョージはビートルズ時代には成し得なかった成功をいち早く勝ち取っている。
「オール・シングス・マスト・パス」には、ビートルズの影を微塵も感じさせない音世界が構築されていて、その音楽は金字塔という言葉にふさわしい至高の輝きにあふれている。ビートルズのわかりやすさに対して、いわば、通好みといってもよいサウンドだが、決して難解ではない。
元ビートルズの、ジョンでもポールでもなく、静かなる男ジョージがこのような音世界を作り上げたからこそ、ビートルズは時代からとり残されることなく、むしろ深みを増して再評価されたのではないだろうか・・・最近、そんな気がしてならない。