オリジナルと思われる象牙のサドルと、今回使用する真鍮棒との比較です。ノギスで測ったところ、何と3mmの違いがありました。これで、異常に高かった弦高も改善するだろうと思って、弦を張ってみると…。最初と比べて低くはなったものの、12フレットで6弦側が約5mmあり、まだまだ高めです。真っすぐに見えたネックですが、ネックヒールのヒビにその兆候が見られたように、元置きが起こっているようです。
こうなると、ネックをリセットするか、ブリッジを加工してサドルを低くするしか方法は無さそうです。施策に迷ったので、専門書を購入して調べることにしました。現代ギター社から出版されている「メイキング・マスター・ギター」(ロイ・コートナル著)です。
この本によると、タイ・ブロックとサドルには十分な角度が必要で、この角度が音の明瞭度に影響する、とあります。当然ブリッジは、よく考えられて設計されているはず。これで、ブリッジの加工策はボツにしました。
ギターリペアのなかでも、最も困難なネックリセットを行う羽目になりそうです。まず、ネックを取り外す際に必要な、高温のスチームを放射できるクリーナーを注文しました。
これで準備は整いましたが、後で後悔したくないので、その前にできることはなるべくやっておこうと考え直しました。その方法とは、ネックアイロンによる矯正です。専用のネックアイロンは、7万円前後と非常に高価なので、アルミの角パイプを加工して使うことにしました。
ホームセンターで、幅5cm×厚2.5cm×長1mの角パイプを45cmにカットしてもらいました。残った55cmの角パイプのほうは、エレキギターやベースのネック矯正に使えそうです。L型クランプも一緒に購入して、自前のネックアイロン工具がそろいました。後は、ラバーヒーターがあれば専用のネックアイロンと同じ効果が期待できます。
ラバーヒーターはネットで注文したので、それが届くまでの間、工具を使ってリハーサルしてみることに。真っすぐに見えたネックですが、水平の角パイプを当ててみると、やはり順反りしているのがわかりました。クランプを締めていくと、指板が角パイプと水平になっていくのがハッキリ確認できます。ラバーヒーターが届いたら、熱でネックに水平の癖をつけてあげようと思います。
2 件のコメント:
急な質問で恐縮ですが、数点お伺いしたい事がございます。
私も自作でアイロンを充てたいと考えていたところ、こちらのページを拝見しました。
質問は、クランプのネック側接触部分をどのような形でネックに傷が入らないようにされているかお教えいただけたらと思い質問した次第です。
何卒お教えください
質問拝見しました。aria の専用アイロンですと、ネック接触部分がR型になっているので均等に圧をかけられますが、自作アイロンの場合は、ここが“ネック”になりますね。私の場合は、ネック接触部分にハンズなどで売っている木片を当てました。このやり方ですと大抵、目立つ傷は残りませんが、ギターによっては、露骨にその跡が残ります(安物のギターほどそうなりました)。気になるようでしたら、R形状をした木材を加工して作ってしまったほうが良いと思います。がんばってください!
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